【火花(拳闘編Part1)】


  →「挑戦編」より続き
土曜日。私は馬車道のGOLD GYMの前に居た。
エレベータの前に立ち、ボタンを押すのを躊躇していた。
誰でも最初は緊張するものだ。ましてや、これから足を踏み入れようとしている場所は、目付きの鋭いファイターたちがたむろする場所なのだ。


ええいっ!行ったらぁっ!
気合を入れてエレベーターの↑ボタンを強打した。

エレベーター内の静寂さが不安感を煽った。
もし、怖い人が威嚇してきら・・・
その時は、ダッシュで逃げて、このエレベーターに戻る。
ドアが閉まる直前にお尻ぺんぺんだ。


完璧!完にしてペキッ!完璧すぎる作戦だ!
相手はトレーニングでヘロヘロ。ダッシュならば私に勝算はある。
しかも最後っぺの「お尻ぺんぺん」で自尊心も回復する。
「ふふふっ、かんぺきぃ」思わず口に出してしまった。


クレイジーだ!

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不安と恐怖心が私の正常な思考回路を破壊していた。
防犯カメラが、その一部始終を記録していた。
私は気を取り直し、襟を正してカメラに向かってウインクした。
   →→「拳闘編Part2」へ続く