【おいこらっ!】

公園のベンチに座って昼飯を食べていると、ぬこ様が近づいてきた。
「おいこらっ!頭をなでてください~♪」と、ぬこ様。
「なんだとっ!よろこんでぇ~♪」と、わたし。

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弁当にから揚げが入っていたので、衣を取って、あげた。
「あざ~す!」ぬこ様はから揚げを美味そうに食べた。
「ところで、君の猫語は少し奇妙に思えるのだが?」私は残りのから揚げを食べながら言った。
「おいら様は新参者なのであります。しかるべく、変な方言があるかもしれぬ」

短い昼休みの間、私と奇妙な猫語を話すぬこ様との話は弾んだ。
13時を告げるアラームが鳴った。仕事に戻らなければ。
「じゃあね」私はベンチを立った。
「おまいがまた来る可能性はゼロじゃないよね?」
「きっと、また会えるよ」
私は公園の出口に向かって歩き始めた。
振り返ると、ぬこ様がベンチに座ったまま、こっちを見ていた。
つらい別れであった。